東北・新潟のサクラマスを釣る

サクラマスを狙って、秋田の米代川、山形の最上川、新潟の三面川に通いました。

先に書いておきます。これは釣れない釣りです。三面川で漁協に聞いた数字がその実態をよく表しています。

新潟県のサクラマスは、500匹が目安ということになるみたいです。

県全体で年に500匹。そういう魚を1本獲るために、何日も車を走らせる釣りです。 3つの川に通って分かったこと——何を見て行く日を決めるかを書いていきます。

まず数字を知っておく

三面川で解禁前に下見をしたとき、漁協でもらった過去2年の漁獲量が240匹ほどでした。こどもや釣具店の方(漁協関係者)からも同じ話を聞いています。

河川例年の水揚げ量
三面川200匹前後
荒川200匹前後
胎内川50匹
加治川50匹
新潟県 合計500匹が目安

三面川の遊漁は定員制で、定員200人。ただし2016年は締め切りを過ぎてもまだ募集していました。人が集まっていない、という状況です。

シーズンを通して1本出れば上出来。この前提で組み立てないと続きません。

自分の通算は2匹です。それも、この記事に写真を載せた米代川の2匹だけ。最上川と三面川では、まだ1本も獲れていません。

数字を出しておくのは、この釣りの入口で期待値を間違えてほしくないからです。県全体で年500匹の魚を狙うとは、そういうことです。

釣ったサクラマスは2本です。行った回数は、それとは比になりません。数えていませんが、打率はかなり低いと考えてください。

最上川は1回か2回行った程度で、ほとんど情報がありません。現地で会った釣り人も1人だけでした。

水温で動く魚

この釣りでいちばん確かな手応えがあったのが水温です。米代川で測ってきました。

2017年4月1日・2日 — 反応なし。水温はどこも6.5℃ぐらい。

このとき「サクラマスは水温の上昇とともに動きが出てくる魚なので、この時期はまだ条件が整っていなかった」と結論しています。同じ遠征の3日目に入った最上川も反応なしでした。

2017年5月1日 — 水温を細かく記録。

場所水温
1日目阿仁川上流8.2℃
1日目体育館10.6℃
1日目増沢10.1℃
2日目銀杏橋8.1℃

同じ水系でも、ポイントによって2℃以上の開きがありました。

これが最も実用的な発見です。「米代川の水温」という一つの数字はなく、入る場所ごとに違う。6.5℃で全域だめだった4月上旬に対し、 5月には同じ日のなかで8.1℃と10.6℃が混在しています。

つまり、水温の高いポイントから入るという組み立てができます。

「何℃を超えたら入る」という基準は持っていません。持っているのは、上の実測だけです。6.5℃で全域だめだった日と、8.1〜10.6℃でポイント差が出た日。そこから言えるのは、絶対値で線を引くより、その日その水系のなかで水温の高い場所から入るということです。

「何℃を超えたら入る」という言い方はできません。判断を言葉にするのは、正直かなり難しいところです。

やっているのは、その日その日で相対的に見ることです。同じ水系のなかで何か所か測って回り、高いほうの場所に入る。そのうえで、10℃前後が一つの目安になる可能性が高いと感じています。

サツキマスのほうは、水温との関係が分かっていません。

3つの川の性格

同じサクラマスでも、見るべきものが川ごとに違います。

何で決まるか
米代川秋田水温。同じ水系で2℃以上の差が出る
最上川山形濁りと風。3月は増水も
三面川新潟水量。規模が小さく、減ると厳しい

米代川(秋田)— 水温を測って入る場所を選ぶ

通ったかぎりでは、4月上旬は早く、5月から6月が本番です。

  • 4月1日・2日(2017年)— 水温6.5℃前後、反応なし
  • 5月1日・2日(2017年)— 水温8.1〜10.6℃。ポイントによる差が出始める
  • 5月14日(2017年)— 「まだまだこれから」
  • 5月24日(2019年)— サクラマス1匹
  • 6月2日(2016年)— 「やっとです」

2019年5月24日、米代川のサクラマス1匹

釣果が出ているのは5月下旬と6月上旬です。

2017年5月14日。「まだまだこれから」

ポイント — 水温を測って回った地名が、そのままポイント名になります。

  • 阿仁川上流 — 阿仁川は米代川の支流。上流部で8.2℃
  • 体育館 — 10.6℃。測ったなかでいちばん水温が高かった場所
  • 増沢 — 10.1℃
  • 銀杏橋 — 8.1℃

2016年6月2日。「やっとです」

水温を測って回った地点です。

米代川は東から西へ流れて能代で日本海に出ます。下の地図は上流から下流の順で、大館・鹿角のあたりから、二ツ井・能代までの33地点。本流だけでなく、阿仁川・藤琴川といった支流の地点も混ざっています。

GPSの記録から起こした、実際に入った場所(33か所)。ピンを押すと座標が出ます。 瀬の位置や河原の広さを見るときは「航空写真」に切り替えてください。

サクラマスそのものの軌跡は残っていません。 GPSを持つようになったのが後年で、この釣りに通っていた時期の記録が無いためです。代わりに、同じ米代川水系で別の時期に歩いた3回ぶん(大館市と藤里町)が残っていました。川筋の見当をつける足しにはなると思います。

2012〜2013年のあいだに、この範囲へ 3回・のべ7時間。

軌跡を読み込んでいます…

線を押すと、いつ・何時間その場所にいたかが出ます。 同じ筋を何度も歩いているところは色が濃くなります。瀬の位置を見るときは「航空写真」へ。

地点に名前は付けていません。地図の上で「行った場所」を指しているだけで、呼び名として使っているものではないからです。

本文に出てくる阿仁川上流・体育館・増沢・銀杏橋は、地名を調べれば場所が出ます。

支流にも入っています。 2013年9月14日、サクラマスの時期とは別に米代川水系の支流を回りました。

藤琴川

岩瀬川 — 濁りのため反応なし。

犀川

秋に支流へ入るという遊び方もできる水系です。

最上川(山形)— 初めてでも入りやすい

3つのなかで最も入りやすい川です。両岸の土手にずっと道路があり、ところどころに河川敷へ降りる坂があって、川もよく見える。どこに車を停めてどこで釣りをすればいいか一目瞭然でした。

サクラマスは「どこでやればいいか分からない」ところで躓く釣りなので、最初の一歩にはこの川が向いています。

人がいる場所が分かる。年券を買ったフィッシング トミヤマさんによれば、「行ってみればやってる人がいるので、どこでやるのかはすぐにわかる」。

逆に、人がいなければ釣れていない。 2017年3月12日、誰もいない区間で 2時間やりましたが、これは「釣れていないということ」でした。人の有無が情報になる川です。

2017年に入ったポイントを地図に残してあります。漁協の境界も入れてあるので、券を買う前に、どちらの区間に入るのかを確認してください。

最上川で入ったポイント(2017年)Googleマップで開く

濁りと風が敵です。

対岸にテトラが入り流れも当たる好ポイント。ただし手前からは釣りにくい

同じ日、いつの間にか濁りが入っていた。「道理で回りにだれもいないわけです」

2017年3月18日は濁りと強風のなか粘りましたが反応なし。翌日も釣りの予定でしたが、雨による増水で夜のうちに水位が上がり中止になりました。

2017年3月18日。この後の雨で翌日は中止

3月の最上川は、濁り・強風・増水がそのまま可否を決めます。遠征で行くなら、この3つの見通しを立ててから出るべき川です。

実釣エリアはGoogleマイマップにまとめてあります。

三面川(新潟)— 数字を知って臨む川

解禁は3月16日(2016年)。定員制で事前申し込みが要ります。

下見をしたときは、正直こう思いました。

全体的に河川規模も小さく水深もなく、水が無くなるとかなり厳しいだろうと思われる河川ですね。

三面川の川相。水量が落ちると厳しくなる

ダム直下の橋から下流が「一番上がるらしいエリア」として案内された場所です。

ダム直下の橋から下流。一番釣れそうなポイント

2016年3月16日、解禁日。結果は「異常なし!」でした。

4回入って本命は出ていません。出たのはアメマス1匹でした。

2016年3月26日、外道のアメマス

2019年4月9日にも入りましたが「釣れません。サクラマス居なさそうです」。

遠征の組み立て

複数の川を1回の遠征で回ります。 2017年4月は、米代川2日+最上川1日の 3日間で組んでいます。片方が濁っても、もう片方に振れる形です。

所要時間は、自宅の場所が分かってしまうため書いていません。

タックル

ミノーを自分でチューニングする

市販のミノーに手を入れて使っています。

コーティングを剥がし、アワビシートを貼って、ウレタンでコートし直す。 2021年4月にサクラマス用として仕上げたものです。

コーティングを剥がしてアワビシートを貼り、ウレタンでコートし直したミノー

濁りの入る川で何日も通う釣りなので、わずかな差でも自分で作れるところは作る、という考え方になります。

ベースはスミスのDコンタクト85(8.5cm・14g前後)です。コーティングを剥がしたところにグリーン系のアワビシートを貼り、ウレタンで2回コートし直します。

ロッドエムアイレ 正影ボロン86MH Minnowing
リール'10ステラ4000XG
ラインPE 0.8〜1.5号
ルアーザウルス レックス・ミディアムディープ9cm、スミス Dコンタクト85

3河川とも同じ組み合わせで通しています。川の規模で持ち替えることはしていません。

ロッドは渓流でイワナを釣る長良川でサツキマスを釣るで使っている正影ボロンの、長いほうです。

ベースはスミスの D-CONTACT です。

アワビシートはグレー。頭だけ残して、ボディの両サイドに貼ります。そのうえからウレタンを2回程度

グリーン系のアワビシートで1匹掛けた記憶があります。

タックルはとくに書きません。この釣りをする人なら、一般的な基準で見当が付く範囲だからです。

釣り方

メインはザウルスのレックス・ミディアムディープ9cmです。本流のサクラマスでは定番のミノーで、潜行深度は1mほど。この1本を軸に組み立てます。

クロスからダウンクロスにキャストし、トゥイッチングを入れながら U字を描かせて巻いてきます。ルアーが流れをつかんで膨らむ、その形を作るのが基本です。

1キャストごとに2〜3歩ずつ下ります。投げて、巻いて、下る。これを繰り返してポイントを一通り探ったら、もう一度上流に戻って同じ筋を流し直します。同じエリアを、間を空けて二度通すということです。

狙う筋は3つの引き出しで組み立てます。

  • 流れの筋そのものを通す
  • 対岸に沈み岩があると分かっていれば、その周りをルアーが攻めるようにキャストする
  • 流れの筋が当たる対岸ぎりぎりへ入れる

飛距離が要るときはシンキングのバイブレーションに替えて、ロングキャストで探ります。ミディアムディープで届かない範囲は、これで埋めます。

遊漁券

サクラマスは川ごとに制限が違います。特に三面川は定員制です。

購入した場所
米代川
最上川フィッシング トミヤマ(最上川第八漁協エリアの年券)
三面川こどもや釣具店(漁協関係者が対応)

最上川は店で買うとその場でどこでやればいいか聞けます。初めての川ではこれが早いです。

3つの川で、券の仕組みがまったく違います。ここを間違えると釣りになりません。

米代川(秋田)最上川(山形)三面川(新潟)
水系サクラマス共通券最上川第八漁協年券のみ・定員制
年券15,000円15,000円20,900円
日券3,500円5,000円なし
期間4月1日〜7月31日3月1日〜8月31日3月1日〜6月15日

米代川は「水系共通券」が1枚で7漁協をカバーします。鹿角市河川・比内町・大館市・田代・鷹巣・阿仁川・粕毛の各漁協の管区で釣りができます。水温を測って川を移動する釣りとは相性がよく、保持できるのは遊漁期間を通して10尾まで、全長15cm以下は採捕禁止です。高校生までは無料、肢体不自由者(身体障害者手帳3級以上)は半額。

三面川はここだけ仕組みが違います。現場売りも日券もなく、年券だけ、定員200名。申込は1月15日から受付が始まり(定員に満たなければその後も継続)、組合事務所の窓口かハガキ・FAXで、住所・氏名・生年月日・電話番号・性別・前年申込の有無を書いて送ります。思い立って行ける川ではありません。

区間は三面ダムより下流の三面川本流と、雲ノ上橋下流端より下流の高根川本流。竿は1人1本まで。ダム放水路下流300m、下野堰堤下流200m、種川・滝矢川などは禁止区域です。女性と18歳以下は無料、身体障害者は半額。

最上川第八漁協は日券5,000円・年券15,000円、期間は3月1日〜8月31日。最上川には第八以外の漁協もあるので、入る場所がどの漁協の区間かを確認してください。

確認してから出かけてくださいここに書いた金額と期間は2026年9月に各漁協・協議会のサイトで確認したものです。サクラマスは採捕制限が厳しく、区間も年によって変わります。出かける前に必ず現在の規則を確認してください。

出かける前に、必ず漁協へ直接確認してください。

サクラマスは採捕制限が厳しく、三面川は定員制です。遊漁券の金額・本数制限・期間・区間の指定、三面川の定員と申込期間は、年によって変わります。ここに書いた仕組みは通ったときのもので、いまの規則ではありません。

間違えると自分が釣りにならないだけでなく、漁協にも迷惑がかかります。